保存刀剣鑑定書(平成19年6月29日)付
¥870,000(税込)
刀剣と歴史(平成26年4月号)所載品
茶呂色塗鞘打刀拵付
銅一重鎺、木羽巻白鞘付
栃木県教育委員会登録証(昭和26年3月14日)付
◎時代・国
江戸末期(157年前)、周防。
◎法量
刃長70.9㎝(2尺3寸4分) 反り1.4㎝(4分6厘)
元幅2.95㎝(9分7厘) 先幅2.14㎝(7分1厘)
元重0.71㎝(2分3厘半) 先重0.56㎝(1分8厘半)
鋒長3.94㎝(1寸3分) 茎長21.0㎝(6寸9分3厘)
◎形状
鎬造、庵棟、身幅尋常で重ねやや厚く、鎬筋の高い造り込みで重量感があり、反りがあって姿良く、中鋒の健全なる体配である。
◎鍛
小板目に小杢目交ってよく約み、地沸つき、地景入り、乱れ映り立ち、鎬地は柾となる。
◎刃文
匂出来、小沸つき、互の目丁子乱れ、蛙子丁子や逆がかった片落ち互の目風等が交じり、足・葉よく入り、飛焼も交じり、砂流しもかかって明るく冴える。
◎帽子
乱れ込んで先小丸に浅く返り、砂流しかかって、先掃き掛けて火焔風となる。
◎茎
生ぶ、鑢目浅い勝手下がり、先栗尻、目釘孔1。
◎拵
茶呂色塗鞘打刀拵。
鐔、竪丸形 鉄地 高彫 金色絵 波に龍の図 銘=長州住友久
縁頭、赤銅地 高彫 雲龍の図。
目貫、赤銅 容彫 這龍の図。
白鮫、金茶色糸つまみ巻。黒色下緒、金色絵切羽、しとどめ付。
◎説明
永弘は備前の加賀介祐永の門人で、初め長州萩にて打ち、元治元年に防州山口に移って冶工となった。藤田謙吾といい、号は眞龍子、明治12年6月6日に没している。
本刀は健全な体配の刀身に、師加賀介祐永の作品を彷彿とさせるような冴えた互の目丁子乱を焼き、地には備前国長船友成の古伝を思わせるような乱れ映りを上手に表現している。
茎にもその旨を記し、藤田謙吾の本名まで入れている処から、相当な技術を施して入念に仕上げた自信作と思われる。茎裏の「丙寅陽月吉辰」は慶應二年十月吉日を意味しているが、これも常とは異なる表現をして、特別な仕上がりの一振りであることを物語っており、資料的にも貴重な優刀である。また、品格のある茶呂色塗鞘の打刀拵が附されていることも好ましい。