刀  銘  津田越前守助廣  (新刀・最上作)(大業物)

寛文八年二月日

26回重要刀剣指定書(昭和5432)

                 ¥10,000,000(税込)

助廣大鑑7071頁所載品。

金無垢二重鎺、白鞘付

 

東京都教育委員会登録証(昭和3919)

◎時代・国 

 

江戸初期(354年前)、摂津。

 

◎法量

 

刃長71.0(2343) 反り1.5(5) 元幅3.16(14) 

先幅2.12(7) 元重0.7(23) 先重0.5(17) 

鋒長3.58(118) 茎長23(759)

 

◎形状

 

鎬造、庵棟、棟のおろしが急で、身幅広く、反りやや浅く、元先に幅差がつき、重ねが厚めで踏張りごころがあり、中鋒の健全なる体配で姿が良い。

 

◎鍛

 

小板目肌細かによくつみ、地沸微塵に厚くつき、地景入り、かね冴える。

 

◎刃文

 

直刃調に浅くのたれて匂い深く、小沸よくつき、金筋・砂流しかかり、匂口明るく冴える。

 

◎帽子

 

直ぐで入り、先小丸に返り、僅かに掃き掛ける。

 

◎茎

 

生ぶ、先入山形、鑢目化粧付筋違い、目釘孔1

 

◎説明

 

津田越前守助広は、寛永14年摂州打出村(現芦屋市)に生まれ、通称を甚之丞といい、初代そぼろ助広の門に学んで養子となり、大阪常盤町に住した。明暦元年師の没後二代目を継ぎ、明暦3年に越前守を受領して、寛文7年には大坂城代青山因幡守宗俊に召し抱えられ、天和231446歳で没している。

作風は初期には石堂風の丁子乱れを、ついで互の目乱れを焼き、さらに涛瀾乱れという独特の刃文を創始し、世に絶賛を博した。後世、鎌田魚妙がこれを以て助広を新刀第一と賞賛したといわれている。

それとは別に本作に見られるような直刃調のものも巧みであり、同地大坂の井上真改の直刃と双璧であり、華麗な涛瀾よりも直刃の方をより称賛するむきもある。

いずれにせよ、地刃の精美、沸出来の妙、匂口の深く明るく冴えた様など、新刀中の横綱として、江戸の長曽祢興里虎徹と並び称賛されている。

 

本刀は最上作・大業物、二代助広の本領が遺憾なく発揮された一口で、地刃共に小沸がむらなくよくついて整い、明るく冴えわたっている所等はまさに彼の真骨頂であり、同工の直刃の典型的な作柄で、優れた出来映えを示している。


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