特別保存刀剣鑑定書(平成2年7月20日)付
¥2,300,000(税込)
金着一重鎺、白鞘付
鹿児島県教育委員会登録証(昭和38年12月14日)付
◎時代・国
江戸後期(240年前)、薩摩。
◎法量
刃長71.8㎝(2尺3寸7分) 反り1.2㎝(4分)
元幅3.34㎝(1寸1分) 先幅2.33㎝(7分7厘)
元重0.72㎝(2分4厘) 先重0.5㎝(1分7厘)
鋒長4.34㎝(1寸4分3厘) 茎長21.7㎝(7寸1分6厘)
◎形状
鎬造、庵棟、身幅広く、元先の幅差ややつき、重ね厚く、踏張りごころがあり、尋常な反り姿で、中鋒延びる。
◎鍛
小板目肌よくつみ、地沸厚くつき、地景よく入る。
◎刃文
焼幅広く、湾れを基調に互の目交じり、足入り、匂一段と深く、さかんに沸づいて厚くつき、荒沸を交え、沸筋・砂流しがよくかかり、金筋入り、明るい。
◎帽子
焼き深く、直ぐで入り、丸く返り、強く沸づいて掃き掛ける。
◎茎
生ぶ、先細って剣形、鑢目筋違、目釘孔1。
◎説明
元平は薩摩藩工で、奥元直の嫡男にあたり、通称を孝左衛門という。延享元年に生まれ、文政九年83歳で没している。彼は当時同国の伯耆守正幸と並んで薩摩新々刀界の第一人者であり、寛政元年正幸と同時に、大和守を受領している。作刀は明和年間より見られ、初め「薩陽士元平」「薩藩臣奥元平」などと銘し、寛政元年受領後は「奥大和守平朝臣元平」と銘するものが多い。作品は互の目乱れに小のたれ・尖り刃などを交えて、匂深く、荒沸がつき、金筋・砂流しがかかるなど、相州伝の作柄を得意としている。
「日本刀工辞典」によれば「薩陽士元平の五字は大和守受領前の若打にして安永・天明年間の作品である。若打だけに銘字も太くしっかりしていて、作柄も晩年は一定した互の目乱れであるが、この若打銘のものは多様で、中には優れたものを見る。」と賞賛されている。
この刀も相州伝の作風を示したもので、野趣に富んだ作域を示していて出来が良い。