保存刀剣鑑定書(令和2年6月25日)付
¥売却済
日本刀工辞典古刀篇280頁所載品
黒呂色塗鞘合口短刀拵付
金着二重鎺、白鞘付
東京都教育委員会登録証(昭和28年2月13日)付
◎時代・国
桃山期(415年前)、信濃。
◎法量
刃長29.0㎝(9寸5分7厘) 内反り
元幅2.54㎝(8分4厘) 元重0.58㎝(1分9厘)
茎長10.9㎝(3寸6分)
◎形状
平造、三ッ棟、身幅・重ね共に尋常で、やや寸の延びた健全なる体配で姿が良い。
◎鍛
小板目に小杢目交じってよく約み、流れごころがあり、やや肌立って地沸つき、地景入り、焼出しから映りが鮮明に立ってよく働く。
◎刃文
小沸出来、匂口締まりごころに金筋・砂流し掛かり、湾れて互の目交じって直ぐ刃調となり、小足よく入り明るい。
◎帽子
直ぐで入り、小丸に品良く返って、先やや掃き掛ける。
◎彫物
表は梵字に護摩箸、裏は棒樋を搔き流す。
◎茎
生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目筋違い、目釘孔2。
◎拵
黒呂色塗鞘合口短刀拵。
目貫、金色絵容彫 親子獅子図。白出鮫、小柄・笄、竹細工。
◎説明
信舎(のぶいえ)は本国が美濃関の三阿弥派の刀工で、のちに信州諏訪に移り、甲州にても打ったといわれている。
本作はやや寸の延びた健全なる体配で姿が良く、小板目に小杢目が交じってよく約んだ鍛えに地景が入り、鮮明な映りも立って、小沸出来の刃文は金筋・砂流しが掛かって小足入り、よく働いて出来良い。
茎には受領銘の常陸守を冠し、信州住の居住地と慶長拾貮年の年紀まで記されていて、資料的にも頗る貴重な作品として、藤代義雄・松雄両先生の著となる日本刀工辞典に所載されている。品の良い黒呂色塗の合口短刀拵が付されている事も好ましい。