特別保存刀剣鑑定書(昭和61年2月28日)付
¥680,000(税込)
印籠一分刻鞘合口短刀拵付
金着一重鎺、白鞘付
群馬県教育委員会登録証(昭和40年8月31日)付
◎時代・国
江戸初期(約350年前)、肥前。
◎法量
刃長27.7㎝(9寸1分半) 反り0.2㎝(7厘)
元幅3.17㎝(1寸5厘) 元重0.68㎝(2分2厘)
茎長12.4㎝(4寸1分)
◎形状
平造、庵棟、身幅広く、重ね厚く、長さもあって重量感のある健全な体配である。
◎鍛
小杢目肌頗るよく約み、地沸厚くつき、地景頻りに入り、地沸映り立ち、明るい。
◎刃文
小沸出来、匂い深く、互の目丁子乱れ、足長く入り、金筋・砂流し頻りにかかり、飛焼ごころもあり、明るい。
◎帽子
乱れ込んで小丸に返り、深く焼き下げて、先掃き掛ける。
◎彫物
表裏に護摩箸を掻き流す。
◎茎
生ぶ、鑢目筋違い、先尖りごころの栗尻、目釘孔2。
◎拵
印籠腰一分刻鞘合口短刀拵。
目貫、四分一容彫金銀赤銅色絵 牛と童図。
小柄、四分一魚子地高彫金色絵 裏時雨鑢 桜に小野小町図。
小刀、土佐守正宗と銘あり。
柄、藍鮫皮研出一分刻。茶色下緒付。
◎説明
初代忠国は初代忠吉の門人の吉家(のち広貞)の子で橋本姓を冠し、世上橋本播磨といい、小城に住した。忠国の代別に関する学説は今日に至ってもいくつかの説に分かれて論じられており、足並が揃っていないのが実情である。播磨大掾銘を初代とし、播磨守銘をすべて二代とした説もあるが、初代の晩年には播磨守に転任しているので、播磨守銘には初代作と二代作が混在していると考えられる。
本作は銘の特徴から初代作と鑑したが、いずれにしても初代の後期作か二代の代作と鑑ることが出来るもので、両人共に上作・業物刀工として高い評価が成されている。
よく約んだ杢目鍛えに頻りに地景が入り、足の長く入った互の目丁子刃には細かい金筋・砂流しがよく働いており、同作中最高の出来の名短刀である。