保存刀剣鑑定書(平成12年5月2日)付
¥350,000(税込)
金色絵一重鎺付白鞘なし
北海道教育委員会登録証(昭和45年11月6日)付
◎時代・国
室町後期(約480年前)、美濃。
◎法量
刃長27.4㎝(9寸4厘) 反り0.3㎝(1分)
元幅2.74㎝(9分強) 元重0.5㎝(1分7厘)
茎長10.7㎝(3寸5分3厘)
◎形状
平造、庵棟、身幅尋常で僅かに反りがあって姿が良い。
◎鍛
柾目基調に小板目・小杢目交じり、地沸つき、地景入り、やや肌立つ。
◎刃文
小沸出来、匂い深く、湾れ調に互の目交じり、金筋・砂流し・葉が入ってよく働く。
◎帽子
直ぐで入り、尖りごころに小丸に返る。
◎茎
生ぶ、先浅い栗尻、鑢目檜垣、目釘孔2。
◎拵
竹皮風変り塗黒細刻み蒔絵鞘小さ刀拵。
鐔、赤銅磨地耳魚子地。
縁頭、赤銅磨地波地高彫 銀据紋高彫 金色絵 銀象嵌、銀縄目台付、月に蝙蝠(こうもり)の図。銘=貞正(花押)。
目貫、赤銅容彫金銀色絵 鶏の図。
小柄、四分一磨地片切彫毛彫、裏 時雨鑢、月に老松の図。銘=後藤光雅(花押)→実乗同人で勘兵衛家五代目の巧手。
栗形、四分一磨地。
雷紋風耳金色絵切羽、白鮫、黒色糸つまみ巻、茶色下緒。
こうもりは「蝙蝠」と書き、日本では昔から「幸盛り」や「幸守り」といった当て字を使って幸せのシンボルと捉えられ、縁起の良い物の象徴とされている。特別な注文によって作られたと思われる入念作である。
◎説明
濃州関の刀工兼綱の作である。兼綱は銘鑑によれば、古くは直江志津にも見られるが、関の兼綱としては、宝徳から天正にかけて五工を挙げている。その中現存する年紀作には文明元年・長亨二年・明応五年などがあるが、本作は天文・弘治頃の兼綱と思われる。竹皮風変り塗で品の良い黒細刻み蒔絵が施された小さ刀拵が本作の価値を一層高めている。